根尖性歯周炎について

2016年3月5日

根尖性歯周炎について

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むし歯が歯の神経(歯髄)に達した場合、強い痛みが生じます。こ

れを放置すると歯髄が壊死するために痛みは一時的に軽快しますが、

死んだ組織は腐敗するので、歯根やその周囲まで感染が及びます

根尖性歯周炎)。さらに放置すると強い痛み、腫れ、排膿(膿が

出ること)、歯の動揺が現われ、最後は抜けてしまうでしょう。悪

くすると骨髄炎というやっかいな骨の病気になります。

この悪い連鎖を断って、抜歯せずに歯を保存することを目的に行う

のが根管治療です。

 

根尖性歯周炎がある程度進むと、レントゲン写真において、歯根の

先端を中心とした黒い円形の影として見られます。根尖性歯周炎に

は強い痛みを伴う急性のものと、症状のない慢性のものがあります。

必ずしも痛いわけではないのです。レントゲンを撮影して初めてわ

かる場合も珍しくありません。

 

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写真1 根尖性歯周炎(黄色)

 

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写真2 根尖性歯周炎(黄色)

 

根管治療

 

感染源、つまり壊死した歯髄組織および病原菌の清掃・除菌を行い

ます。歯の大部分を構成する象牙質はスポンジのような構造をして

いて、感染源は奥まで浸透します。これを除菌するためには時間と

回数が必要です。根管治療が成功しない場合、最後の手段(歯根端

切除、分割抜歯、意図的抜歯再植術)を試みます。これが成功しな

い場合には残念ながら抜歯の可能性が高くなります。

 

患者様にはぜひ知っていただきたいことがございます。

 

1.むし歯よりも、痛みのない根尖性歯周炎の方がリスクが高い

 

痛みがあったり、むし歯で穴が開いている場合には、治療に同意し

ていただけることがほとんどです。しかし、痛みのない根尖性歯周

炎については、治療に同意していただけないことを多く経験します。

歯を残す目的において、あるいは健康管理上、痛みを伴うむし歯よ

りも、痛みのない根尖性歯周炎の方がリスクが高いのです。

 

2.慢性炎症は大病の元

 

歯性病巣感染という病態があります。口の中の慢性炎症(歯周病、

根尖病巣)の毒素がアレルギー源となって、遠く離れた臓器に二次

的に病気を起こします。慢性腎炎、慢性関節リウマチ、リウマチ性

心筋障害、亜急性心膜炎、神経炎、光彩毛様体炎、全身性エリテマ

トーデス、皮膚炎、膿胞症、貧血他が知られています。いずれの疾

患も難治性で、治療には費用も時間もかかると思われます。痛みが

ないために長期間放置される慢性炎症はリスクが高いのです。

 

3.根管治療には時間がかかります

 

奥歯の場合、経過が順調であれば4回程度が標準的です。難治性の

場合には治療回数が増えます。そのため患者様は不満を感じやすい

のですが、根管治療を早く終わらせるためには、①早々に最後の手

段に移行する、②妥協する、のいずれかしかありません。治療を成

功させるためには、術者の技術はもちろんですが、患者様のご理解

とご協力が不可欠なのです。

 

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写真3 根尖性歯周炎

治療前の状態。

 

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写真4 

写真3の術後1年3カ月の状態。

病巣はかなり縮小している。


Posted by 越谷市 歯医者 痛くない治療 口腔外科 ひろ歯科医院 無痛治療 at 23:10 / ブログ

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